



SOLD OUT
1950年代から60年代にかけて写真家であり彫刻家として名声を得ていたベクシンスキは、今までポーランド現代美術界から絶賛されたその前衛主義的、フォルマリズム的、抽象表現主義的な指向性を発揮してきた写真、彫刻の世界に突然決別を告げ、幻想主義的で写実主義的な絵画の世界に表現の舞台を移す。
いよいよここに画家ベクシンスキが誕生するのである。とりわけチャコールによるモノクロのドローイングはベクシンスキを最もベクシンスキたらしめた「死と損壊」にたいする畏敬の思いが極限まで探求されたジャンルとなった。しかもSM、倒錯的性愛世界を大胆に描写し「エロスとタナトス」の極北へと歩みだした作品群はベクシンスキ絵画を語る上で最重要な意義を持つにも関わらず従来のベクシンスキ関連本ではあまりにポルノグラフィ的である内容のため忌避されほとんど紹介される機会はなかった。
しかしながらこの60年代から70年代のドローイング作品を揺籃として、やがてベクシンスキを世界的に注目させた油彩による写実的幻想絵画が生み出されたのである。最もダークでもっともエロティックなベクシンスキの幻想世界を集めた作品集成IIIは、ベクシンスキの絵画作品を語る上で時系列的にも必須であり、後期作品を収録した作品集成IIに先行して刊行される。
★【ベクシンスキ作品集成 I ~ III 内容構成】
第一巻:芸術家としてのスタートを切った50年代の写真作品と70年代、80年代の作家の代表的な絵画作品
第二巻:80年代~90年代および晩年の絵画作品、60年代の彫刻レリーフ作品
第三巻:60年代~70年代に精力的に描かれたドローイング作品(モノタイプ、ヘリオタイプ作品を含む)
見開きやディテール拡大図を交え、片ページの場合でもより大きく図版をレイアウト。
ベクシンスキの絵画作品を俯瞰した『ベクシンスキー』との図版重複は避け、いずれも新紹介の作品で構成。
三巻を通してベクシンスキの静謐な廃墟美学が響き渡る美しい装丁。
□仕様:シリーズ共通豪華函装/A4判/上製本/120頁
□収録図版:モノクロ図版約140点+普及版未収録作品4点追加
□エッセイ:ピョートル・ドモホフスキ、アンナ・カーニャ=サイ、平山夢明
□インタヴュー:ベクシンスキ